定電流回路を検討する



世の中にはいろいろな定電流回路があります。
アンプを作るにあたって、


電源電圧の変動に強い


定電流回路を検討する必要があります。

とりあえず、そろう素子の都合で、まずはトランジスタを使った回路から。



トランジスタ2個を使った定電流回路です。
下(左)のトランジスタのVbeと抵抗R1の電圧降下が等しくなるようにI1が流れます。

それでは実際に測定してみましょう。

測定方法
テスターで電源電圧Vccと、Rに流れる電流を計測する。
電流は、Rの両端の電圧を計測。電圧降下と抵抗値から電流を計算。
抵抗値は全部の抵抗をあらかじめテスターで調べておく。


電源は普通の直流電源を利用しました。
測定するとわかるんですが、けっこう電圧が変動します。
1uFのパスコンを入れましたがダメです。
0.1Vは普通に振れますね。
一方電流値は非常に安定しています。 6桁のテスターですが、ほぼ全部の桁が動きません。
安定度は優秀なようです。

測定結果がこれです。



Rbというのが上の図のR2です。Rは上の図と同じです。
電流制限抵抗R1は47Ωにしました。電流の理論値は12.7mAです。



ぜんぜん定電流じゃないですね!
このグラフからわかることは、

負荷抵抗Rを変えてもほとんど電流は変わらない。
電源電圧を上げると電流が増える。
R2を小さくすると、電流が増える。


というところでしょうか。

どうもI2を増やすと電流が増えるようです。

そこで、I2とI1の関係を見てみましょうか。

以下のグラフです。


どうやら相関がありそうですね。
これは、下のトランジスタのIc-Vbe特性が影響していそうです。
データシートのIc-Vbe特性と、測定結果を比較してみます。


分解能が低すぎてよくわからないですね。
全部0.6Vにも見えます。また測定してみます。


さてさて、よくわからない考察はおいておいて、これがどのくらい影響するのかを考えてみます。

目的 PCM1792AのIV変換用定電流源(7.2mAp-p信号)

動作環境 定電流源電圧 -5V
I2 1mA
定電流 電流値 12.7mA


このときの、電圧が0.1V変動したときの電流変化を求めます。

I2の変化は0.020mA、定電流I1の電流変化は、I2=1mAのときの傾き僮1/僮2から0.0130mA
信号の電流幅は7.2mA
割合は0.0018....

S/Nみたいなもの?は、-54.9dBでした。


ちょっと悪すぎですね。
まあ、定電圧源が0.1V変動することはないにしても、10mV変動しただけで-74.9dB。
あんまり使いたくないですね。


今日のところはここまで。J-FETが届いたら、J-FETの生の値(Idss)とこの定電流源のI2に組み込んだときの
特性を調べたいと思います。


各種定電流源の電圧感度の話が載っています。
http://www.el.gunma-u.ac.jp/~kobaweb/lecture/2009lecture-6.pdf
が、一番精度のいいと書かれているこの回路でも、精度が足りない気がするんですが。
続く。
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